研究概要 |
本研究の主な成果は以下の通りである. 1.スプライン関数を用いた波動場変換法について検討した.その中で特に,スプライン関数近似の項数およびサンプリング間隔による波動場変換への影響について検討した.この方法で変換を行った場合,変換後の仮想波動の最初の部分に異常な振動が出てしまうことあることがわかった.その原因は,逆ラプラス変換の際の数値計算上の問題によるものと考えられる.この初期の異常な振動はサンプリング間隔に依存していることがわかった. 2.解析的に時間領域の磁場が計算できる層構造に対して,鉛直磁場の過渡応答を求め,それに対してこの方法による仮想波動場を求めてみた.その結果,直接波はほぼ正確に検出されることがわかった.その場合上記の初期異常振動範囲と重ならないようなスプライン近似の際のサンプリング間隔を選ぶ必要がある.また,屈折波や反射波は非常に見えにくいことがわかった.これは,直接波に比べそれらの波は振幅が非常に小さいことによるものと考えられる. (3)本科学研究費補助金により購入した時間領域電磁探査用送信機と4地点同時測定可能なフラックスゲート磁力計を用いて,大分県由布院地域において,本探査法の実証テストを行った.4地点同時に観測することにより各地点での信号やノイズの特徴の把握が容易にできるようになった.これは将来各地点相互のデータを比較することによりノイズ除去を行える可能性を示唆する結果である.探査の結果として,由布院盆地の南限を走る由布院断層を境に鉛直磁場の過渡応答のが大きな変化が観測された.
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