研究課題/領域番号 |
06660017
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
作物学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
和田 富吉 名古屋大学, 農学部, 助手 (20158702)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1994年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | クサネム / 根粒 / 茎粒 / 形態形成 / 微細構造 / バクテロイド / 窒素固定 |
研究概要 |
1.クサネムは植物体に根粒とともに茎粒を形成し、これらの粒を比較することができ、しかも人為的に粒う着生誘導することが可能なため宿主植物の生育と粒形成の関係を検討することが容易である。これら実験上の利点を踏まえて、ポット栽培した若い植物体にクサネム茎粒分離根粒菌(S1)を接種処理した根粒形成区と根粒・茎粒形成区ならびに、未処理区を設定した。各区の植物体を抜き取りながら、処理後の根粒・茎粒の形成経過および植物体の生育の様相を経過観察した。 2.処理により速やかに茎粒や根粒の形成が起こり、処理5日後には粒の肥大を外部から明確に認められ、10日目には直径5mmほどの大きさにまで発達した。その後、粒の肥大は緩慢となり、その表層部は硬くなり、新たに粒が形成されることはなくなった。根粒形成区と根粒・茎粒形成区の植物体の生育には大きな差異が見られなかったが、これらは未処理区の植物体より、茎葉が濃い緑色を呈し、かつ剛質で未処理区の植物体のような軟弱徒長の状態にはならなかった。また夏期の炎天下でも葉がい凋することが少なく、水ストレスにやや耐性であることが示唆された。 3.根粒や茎粒の表面構造をクライオ走査電子顕微鏡で観察し、樹脂包埋切片法により調製して光学顕微鏡および透過電子顕微鏡によって観察した。茎粒の表面は根粒と比べて滑らかであり、厚いクチクラを発達させており、茎粒では皮層周囲に葉緑体を発達される細胞層を持つことが認められた。しかしバクテロイドが繁殖する根粒と茎粒の内部皮層の細胞組織学的様相にはほとんど差異が見られなかった。植物体に種子が形成される段階になると、粒内には退化的な様相が確認されるようになった。これは植物体内の分配と粒の機能保持を考える上で興味深い知見である。 4.クサネムに見られた植物体生育と粒形成の間の関連、共生による環境ストレス耐性の強化などが他のマメ科作物で見られるか否か、引き続いて検討したい。
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