研究概要 |
ブルーベリ-は好酸性植物として知られるが,その耐酸性機構は明らかでない。本研究は,in vitro培養植物体を中心に,pHおよび酸性土壌で活性化するアルミニウム(A1)の影響について検討した。得られた結果は以下の通りである。 1.ほ場におけるブルーベリ-樹のA1含量は茎葉部よりも根部で多く,地下部に集積されていた。ポリフェノール含量は,逆に茎葉中に多くA1の結合体とは考え難かった。 2.培養シュートの成長に対する培地pHの影響は,2継代にわたり培養したが,オートクレープ前pHが3.5から6.5の範囲では,pH6.5以外のいずれの培地でも成長量に大差なかった。ただし,pH6.5の培地では生育が抑制された。一方,培地中のA1は添加濃度が高くなるにつれて生育を抑制し,シュート中のA1含量も高まった。このことは,根がないと茎葉中にA1が吸収され生育を抑制することを示し,根が地上部へのA1の移動を抑制していることを示唆している。 3.発根培養シュートの根端細胞の活性に対するpHおよびA1濃度の影響をFDA-PI染色により検討した結果,pH3.5の酸性緩衝液に6時間浸漬しても細胞活性は高かった。しかし,pH6.0でも同様に活性は高く,シュートのみの生育反応とは異なった。A1濃度に対する反応は,1mM処理では根端細胞は健全に生きており,耐性がみられたものの,10mMでは全て損傷していた。 培養細胞の成長に対しては,pH3.5の倍地では生育が抑制され,細胞レベルでは耐酸性は見られなかった。A1に対して100μMでは生育が抑制されたが,10μM以下では正常な成長を示したことから,A1耐性の濃度は10〜100μMの間にあると思われた。
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