研究概要 |
1.開花遅延:前年度ウメ‘白加賀'の開花遅延に最も効果を示した、エスレル(100ppm)を10月中旬に散布し、芽の発育を定期的に調査した。その結果、散布した芽の発育(重さ)は遅れていた。特に花柱や花糸の長さおよび子房の大きさが無散布区に比較して著しく劣っていた。新梢内の内生植物ホルモン(シベレリン、オーキシン、サイトカイニン、アブシジン酸)活性、炭化水素(全糖、デンプン)や窒素化合物(アミノ酸、タンパク質)含量について、エスレル散布区と無散布区で比較したところ両者間で有意な差は認められなかった。また、エスレルの散布効果は品種により異なり‘稲積'は‘白加賀'より開花遅延効果が高かった。 2.単為結果の誘起:ウメの単為結果はAC-94,377によって容易に誘起されるが、硬核期1週間前にオーキシンを処理することが必要である。そこで各種オーキシンの種類と処理濃度の違いが着果率や果実肥大に及ぼす影響について調査したところ、NAA、IPA、MCPBの50ppm、2,4-Dの20ppm、2,4-DPの10ppmで着果率や果実肥大が促進された。 3.成熟の制御:ウメの成熟はエチレンとポリアミンによって制御されているので、SAMからSPDへの代謝経路を阻害するMGBGやSAMからACCへの経路を阻害するAVGおびAVGとエチレン発生量との関係を調査したところ、MGBGでは0.1mMn〜10mMで、AOAでは10mMで成熟を抑制した。特に、AVGの100ppmや200ppmではほとんどエチレンの発生が認められっず、果肉の軟化や着色を強く抑制した。
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