研究概要 |
セリ科野菜の葯・花粉培養によるカルスおよび胚様体形成 葯培養:ニンジン、セルリ-、パセリ、ミツバ、ウイキョウを供試し、越冬後5〜7月の開花株から、種々の令の花粉を含む葯を採取し、殺菌後種々の培地に植え付けた。B5、1/2MSにショ糖3%、ゲルライト0.2%を添加した培地を基本培地とし、種々の濃度の2, 4-DとBAの添加した培地に植え付けた。その結果、いずれの植物でも4分子期の花粉を含む葯から種々の培地で、カルスを形成した。NAAとBAを添加したそれぞれの基本培地にカルスを移植したところ、両品種でホルモン無添加の培地、またはニンジン、セルリ-、パセリで幾つかの培地で胚様体が再分化した。胚様体は小植物体まで生長したが、ニンジン以外では順化が難しかった。しかしニンジンでは植物体を生長させ、根端での染色体観察により、半数体であることが分かった。パセリでは1核期前期の花粉を含む葯からのみ、2, 4-Dのみを添加した培地でカルスが形成し、このカルスをホルモン無添加の培地に移植することにより小植物体となったが、やはり順化は難しかった。 花粉培養:供試材料として、葯培養と同様な植物種を用いた。葯を培地中で潰し、1核期前期または後期の花粉を集め、遠心分離で培地で良く洗浄し、2.5×10^3/ml培地の密度で液体培地に植え付け、1か月暗黒で培養した。培地はB5, NLN, 1/2MSに10%ショ糖を添加した液体培地とした。 ニンジン、セルリ、パセリでは1核期前期の花粉より、1か月後B5培地で数分裂まで、NLNでそれ以上の分裂までみられた。同培地を足してゆくと、3か月後にはB5と1/2MS培地で胚らしいものが観察された。
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