研究概要 |
キュウリモザイクウイルス(CMV)感染タバコについて、周期的に出現する無病徴葉とモザイク葉緑色部の抵抗性の機構について検討した。無病徴葉は粒子接種だけでなくRNA接種にも抵抗性を示した。二本鎖(ds)RNAを比較したところ、無病徴葉と緑色部はdsRNA3、4のみを含んでいた。また、感染性はモザイク葉黄色部の約5%、外被たんぱく(CP)量は約5%であった。総核酸についてRNA検出プローブを用いて検定したところ黄色部では+、-鎖とも検出できたが、無病徴葉と緑色部では検出できなかった。-鎖はいずれの組織でも検出限界以下であった。また、タバコの各葉位から粒子を回収してRNA成分を比較したところ、葉位ごとに含まれるRNA3,4/RNA1,2の比が変化し、病徴の変化に先行して変動する傾向が認められた。RNA3,4を多く含む粒子が得られた葉位のすぐ上位には無病徴葉が出現した。さらに、モザイク葉組織を緑色部と黄色部とに分けて、感染細胞数とCP量がプロトプラスト化の前後で変わるかどうかを調べたところ、緑色部におけるウイルス増殖の抑制がプロトプラスト化によって解除されることが示された。継時的な調査では、接種葉ではRNAは18時間後から、CPは2日後から検出された。RNAは接種葉葉柄等では2日後から、頂部葉では3日後から検出され、CPはそれぞれの部位でRNAより1〜2日遅れて検出された。しかし、直上位葉では葉柄ではRNAとCPが検出されたものの、葉柄以外からは調査期間中RNAもCPも検出されなかった。またCMV接種3日後の直上位葉にCMVを追接種し、その2日後にノーザン法による検出を行ったところ、RNAわずかしか検出されなかった。
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