研究課題/領域番号 |
06660066
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
蚕糸・昆虫利用学
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
角田 素行 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (50127164)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1994年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | アミノ酸代謝 / 発育制御 / 家蚕 / Urea / Artificial diet / Fresh mulberry leaves / Silkworm / Bombyx mori |
研究概要 |
1.無菌人工飼料育蚕の4,5齢幼虫の体液中の尿素濃度が桑育蚕に比べて2倍程度高い理由を解明する目的で、アルギニンに作用して尿素とオルニチンを産生する酵素、アルギナーゼの活性を主として脂肪体組織について、5齢幼虫の初めから蛹を経て成虫になる1日前まで調査した。 2.最初に蚕の5齢幼虫の脂肪体のアルギナーゼの活性測定条件を明らかにした。 3.次に2で決定した測定条件を用いて、発育に伴うアルギナーゼの活性変動を無菌人工飼料育蚕と桑育蚕について明らかにした。 4.その結果、固体当たりの脂肪体のアルギナーゼ活性は、無菌人工飼料育蚕ならびに桑育蚕ともに5齢幼虫期に一つの活性ピークを示し、蛹0日にかけて活性低下し、蛹期間は低い活性を維持することが明らかとなった。固体当たりの活性で両者を比較してみると、5齢幼虫期間に前者は後者の約2倍高い活性を示すことが明らかとなった。このことは人工飼料育によって脂肪体のアルギナーゼが誘導されること、また誘導された上乗せ分の活性によって、無菌人工飼料育蚕の体液中の尿素濃度の上昇分が説明できることを示唆する結果であった。 5.蛋白質1mg当たりの脂肪体のアルギナーゼの発育に伴う活性は無菌人工飼料育蚕と桑育蚕ともにほぼ同様の変化を示した。また無菌人工飼料育蚕の脂肪体の蛋白量は桑育蚕より多かった。以上の結果から無菌人工飼料育蚕の脂肪体細胞において蛋白質がより多く生合成されるときに、アルギナーゼもより多く生合成される蛋白質の一つであることを示すものと考えられた。 6.無菌人工飼料育蚕の脂肪体のアルギナーゼの細胞内局在性を調査した結果、ミトコンドリアのマトリックスに局在するものがあることを明らかにした。この結果は一般にミトコンドリアマトリックスにアルギナーゼが局在する生物は、アンモニア排泄性であり、ミトコンドリアの内膜に局在するものは、尿酸排泄性であり、細胞質に局在するものは尿素排泄性であるという通説にあわない結果であった。蚕は一般に尿酸排泄性であるといわれており、上の通説に従えばミトコンドリアの内膜に局在しているはずであった。この問題点の解明は今後の検討課題である。
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