研究概要 |
ヒトMHC領域の複製タイミングを2Mb以上にわたって詳細に解析し、DNAの複製のパターンを明らかにした。その結果、MHC領域のDNA複製はClassIIとClassIIIの間にこの領域内で最も遅く複製する領域が存在し、この領域を境にして少なくとも2つのレプリコンクラスターを形成していると推定された。また、プロモデオキシウリジン(BrdU)を取り込ませた細胞からExtended Chromatin Fiber(ECF)調製し、マルチカラーFISHを行ったところ、早く複製するでDNAセグメントはBrdUが検出されるFiber上に多く検出される一方、ClassIIとClassIIIの境界付近のDNAクローンはBrdUき検出されないFiber上に検出されることから、FISHによって決定したこの領域の複製タイミング過程を検証できた。さらに、立体構造を保持した細胞核についてこの領域が少なくとも2つのレプリコンクラスターから形成されることを示すための実験を進めている。 一方、画像解析FISH法の組み合わせによって、一個の細胞核のS期の中でのステージと複製タイミングの決定法を開発した。すなわち、RNase処理した細胞核標本について調べたいクローンを用いてFISHを行い、propidium iodide(PI)染色を行い,その蛍光イメージを低倍率でCCDカメラを通してデジタル信号に変換しコンピュータに取り込む一方、個々の核のFISHシグナルのパターンを高倍率で調べる。画像解析により、PI染色による蛍光量から個々の核のDNA量を算出し、S期のどの位置にある核かを決定する。一方でDNAのFISHシグナルのパターンから調べたいクローンの複製タイミングを決定できる。これは、核内ゲノムの動態に関する研究を行う基礎的技術を提供した。さらに、ゲノム解析の基礎である各種遺伝子のマッピング等を行った。
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