研究概要 |
セルラーゼはセルロースを加水分解する酵素の総称であり、作用機作の異なる酵素群により構成されている.しかし,その詳細な分解機構は解明されていない.酵素の活性部位の構造や機能を検討する手段の一つにその酵素に対しての特異的阻害剤を用いる方法がある.著者らは糖転移活性を有する市販セルラーゼ剤を用い,グルコンダーゼ阻害剤であるSGI(1-デオキシノジリマイシン)とセロオリゴ糖を転移重合させ4種の阻害剤を単離し、それらの構造を決定した.さらに重合度の大きい阻害剤を分取することを目的とた. 1.2% SGI,10%セロオリゴ糖,25%セルラーゼ,30% DMSOを含んだ100mM酢酸緩衝液中で37℃で48時間反応を行い,産物はイオン交換クロマト,ゲル濾過HPLCで新たに2種の新規セルラーゼ阻害剤を得た. 2.これらの構造を,HPLCによる構成成分の同定,β-グルコシダーゼ分解,メチル化分析により,4-0-β-D-セロトリオシル-SGIおよび4-0-β-D-セロテトラシル-SGIと決定した. 3.しかし,この方法で得た阻害剤の量は微量であった.そこでClostridium thermocelun 由来のセロデキシストリンホスホリラーゼ(CDPase)の逆反応を利用して,グルコース-1ーリン酸を供与体,Gl(β1-4)SGIを受容体として合成する新たなセルラーゼ阻害剤(GnSGI)の合成法を確立した. 4.各種セルラーゼに対する阻害剤の阻害作用を検討した.それらの中でAspergillus aculeatus由来のFI-CMCaseはG3SGI〜G6SGIに対して強い阻害を受けた.
|