研究概要 |
現行のメンタ菌の分類発表(1979)以後多数の新種のメタン菌が発見され、分類の再検討が必要になっている。本研究期間に12株のメタン菌について我々の開発した脂質部品分析を行い、メンタ菌の目(order)および科(family)という高次のレベルでの再検討を行った。Methano-coccus maripaludis, “Methano-coccus aeolicus",Methnococcus igneus、Methanobacterium thermoautotophicum Marburg株、Methano-corpusculum parvum,Methanoplanus limicola,Methanosarcina thermophila,Methanosarcina mazeiS6およびTMA株、Methanococcoidemethylutens,Methanohalophilus zhilinaeならびに未同定のNaT1株である。その結果をすでに分析した30数種の結果と合わせて次のようにまとめた。第一に、Methanomicrobiaceae科とMethanosarcinaceae科のメタン菌では、いずれの脂質部分をとっても全く異なっており、細胞の形態、生育のための基質等でも根本的に異なり、16SrRNAの塩基配列の比較による系統分類の結果もこれらのことと対応し、Methanosarcinalesを別の目として独立させてしかるべきであることが明らかになった。第二に、Methanococcus属の超好熱性の2種を新科Methanocaldococcaceaeに、中等度好熱性の1種を新属Methanothermococcus属に再分類することとした。第三にMethanosaeta属の好熱性の種は中温性の種と脂質部分が異なっており、別属の可能性を見出した。第四に、Methanosarcinaceae科の一部のメタン菌の脂質部品は種の判別ができる可能性を示した。なお、この方法は未同定のTMA株やNaT1株に適用され、本方法がメタン菌の分類と同様同定にも有用であることが分かった。
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