研究課題/領域番号 |
06660180
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
肘井 直樹 名古屋大学, 農学部, 助教授 (80202274)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1995年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 穿孔性昆虫 / 寄生蜂 / 寄主サイズ / Atanycolus initiator / Spathius brevicaudis / 性比調節 / 樹皮厚 / 垂直分布 / 寄主 / マツ / 時空間構造 / 時空間的構造 |
研究概要 |
樹皮下穿孔性昆虫の寄生蜂2種、Atanycolus initiatorとSpathius brevicaudisの生活史、形態、寄主を比較した結果、形態的にはA. initiatorの方がS. brevicaudisに比べ著しく大きく、個体重で約8倍、産卵管長で約3.7倍の違いがあった。また、両種ともに、羽化成虫のサイズは寄主サイズと強い正の相関があったが、寄主サイズに対する羽化成虫サイズの回帰をみると、A. initiatorではサイズ分布の異なる主要な3種の寄主のいずれに対しても直線関係が成立しのに対し、S. brevicaudisでは、同種にとって比較的大きな寄主であるShirahosizo spp.に対しては頭打ちの曲線となった。とくに、Shirahosizo spp.両寄生蜂にとっては共通の寄主種であり、こうした回帰性の違いは、両寄生蜂の体のサイズの違いによる資源要求度の違いを反映したものであることが示唆された。異なる寄生種から羽化した寄生蜂成虫の性比(雄の割合)は、いずれの寄生蜂においても、寄主サイズが大きいグループほど低かった。しかし、全体的な性比でみると、A. initiatorでは雄に偏っていたのに対し、S. brevicaudisでは雌に偏っており、このことは本調査地における寄主のサイズ分布がA. initiatorにとっては相対的に小さく、S. brevicaudisにとっては相対的に大きいことを示唆するものであった。さらに、これらの寄生蜂の垂直分布構造には、寄生蜂の産卵可能な樹皮厚と寄生蜂の飛翔力の種間差が、局所分布には同じく寄生蜂の産卵管長に関連した樹皮厚および寄主密度が密接に関係していることが示唆された。これらのことから、両寄生蜂間での寄主サイズに対する相対的な評価の違いと産卵管の長さの違いに起因する利用場所の違いが、本来同一樹幹内において競争関係にあると思われる2種の寄生蜂の共存を可能にしていることが強く示唆された。
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