研究概要 |
樹木などの画像データベースを用いて樹木識別学習を支援するエキスパートシステムに必要な知識関係を明らかにすると共に、プロトタイプのシステムを構築することを目的に2年間研究をおこなってきた。まず,樹木などの画像データの収集とそのデータベース化をとおして,画像データの収集方法,パソコンで扱える画像データへの変換方法,および画像データベース構築のノウハウについて多くの知見を得た。身近な機器や資材で樹木などの画像データベースを簡単に構築するために,その過程をプログラム化した。ついで,樹木識別学習を支援するエキスパートシステムを構築した。システムは京都大学北海道演習林に自生する樹木64種を対象に,市販のエキスパートシステム構築シェルを用いて作成した。推論方法はIF〜THEN〜方式とした。識別に必要な葉形や葉脈の形などの分類規準を樹種毎に整理し,樹木識別の知識データベースを作成した。しかし推論過程を分析すると,必ずしも全ての分類基準について情報を登録する必要はないことが判った。構築したエキスパートシステムは大別すると次の2つになる。第一は植物図鑑などに紹介されている樹種名の検索手順をシステム化したものである。判断基準を幾つか設定し、枝分かれ式に分類していき、対応する樹種名に行き着く方法である。葉の大きさの判断などにファジィ的な推論過程を取り入れた。第二は前者と同様の検索手順を一部取り入れ、中分類程度まで対象樹種を絞り込み、それらの特徴を画像データを用いて配列表示し、対応すると思われる樹種を選択していく方法である。葉形などどのように判断して良いか迷う人にとって,実際の形と比較し判断できる。また,分類基準を明示することで識別法や特徴が習得できる。
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