研究概要 |
沙漠緑化樹種である旱柳(Salix Matsudana)の水質量に関する研究 1.差し穂の適期は,芽吹直後の4月よりも,シュートの木化がかなり進展する6月からが良いことを,確かめた.この場合,枯死率は2%でしかなかった. 2.ポットの容量はフィルムケースで十分であり,朝夕の重量差を蒸散量としてもよいことを,確かめた.蒸散量は,差し木直後を100とした場合,60日後には,おおよそ700のなった.この期間中の葉面積はおおよそ3倍となった. 3.蒸散量の季節変化は,明らかであり,夏期に最大となった.その値は1.1g/日であった.この値は,日平均気温と相関がみられた.しかしながら,湿度とは相関が認められなかった. 4.水ポテンシャルは降水量に明らかに左右されており,降水後は水ポテンシャルは低下していた.気温あるいは湿度との関係は見られなかった. 5.通常の樹種の水ポテンシャルが-1.0〜-1.5Mpaであると言われているのに対し,旱柳の水ポテンシャルは,-3Mpa近くになることがあり,この樹種が耐乾性に優れていることが明らかになった. 6.旱柳の葉面積は,葉幅の2乗,葉長の2乗とを変数とした重回帰式で最も相関が高かった. 7.比葉面積は93.5cm^2/gとなり,毛鳥素沙地で小林が求めたものより,小さかった. 8.旱柳の日蒸散量は毛鳥素沙地の日蒸散量の1/3〜1/6程度であった. 以上述べたことから,本研究で行った旱柳の水消費量の推定は,実験的には成功したが,推定の段階で,多少の困難さが現われ,さらなる研究が必要であると思われた.
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