研究概要 |
報告者は、非免疫状態でもウイルス感染細胞や腫瘍細胞等を傷害するナチュラルキラー(NK)活性を有する細胞群が、コイでは低温適応能を有しており、変温動物である魚類の免疫系では特に注目に値するものであることを明らかにし(Aquaculture,129,421-424;1995)、本研究でその細胞の特定に成功した。従来、魚類のNK細胞としてはアメリカナマズで特定されている小型無顆粒リンパ球(NCC)が知られていたが、コイでは好中球がNK細胞としての働きをしていることが明らかになった。本成果は、魚類では種によってNK活性を有する細胞が異なることを初めて明らかにしたものであり、Developmental and Comparative Immunologyに受理された。 以下に、コイで特定されたNK細胞の特徴を列記した。 【.encircled1.】percallによる比重遠心分離で、比重1,08-1,09の分画に集積する。 【.encircled2.】電子密度の高い棒状のコアを有する顆粒が細胞内に多数存在する。 【.encircled3.】標的細胞への強い接着と強い細胞傷害能を有する。 【.encircled4.】K562細胞をはじめとする数種のヒト腫瘍細胞株を傷害するが、Yac-1やP815細胞などのマウス腫瘍細胞株に対してはほとんど傷害能を示さない。 【.encircled5.】細胞傷害反応は、H_2O_2依存性である。
|