研究概要 |
渦鞭毛藻の多様な麻痺性貝毒組成の発現に関与する酵素として、N-sulfotransferaseとO-sulfotransferaseの分布を調べた。渦鞭毛藻Gymnodinium catenatumおよびAlexandriumtamarense数株、A.lucitanicum、A.osteferdii からgonyautoxin2,3(GTX2,3)をC1,C2に変換するN-sulfotransferaseを検出した。同酵素はadenosine-3′-phosphate-5′-phosphosulfateのみをスルホン基の供与体として利用し、pH6に至適を示した。A.tamarenseのN-sulfocarbamoyl毒群含量と酵素活性に相関が認められた。また、GTX2から化学的に調整した11-hydroxysaxtioxinを基質に用いて検索した結果、GTX2,3に変換するO-sulfotransferaseがG.catenatumとA.tamarenseから検出され、11-hydroxysaxitoxinが渦鞭毛藻による合成中間体であることが明らかになった。さらに、両酵素が無毒の培養株から検出されたことからsaxitoxin骨格生合成にかわる遺伝子と毒の多様性を支配する変換酵素の遺伝子がリンクしていないことを示した。また、G.catenatumの粗酵素液から、decarbamoylGTX2,3に変換するcarbamoyltransferaseを検出し、渦鞭毛藻による生合成過程ではまずdecarbamoyl毒群ができ、carbamoyl毒群,N-sulfocarbamoyl毒群へと側鎖が延長していく経路が取られていることを実証した。
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