研究概要 |
小林ら^<1)>の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるビタミンD定量法を一部改良し,水産食品のビタミンD含量を測定した。試料0.5-10gを正確に秤量し,ポリトロンホモゲナイザーで磨砕した後,その一定量を用いて鹸化処理を行い,不鹸化物をn-ヘキサンで抽出した。抽出された不鹸化物をSEP-PAK処理し,分取HPLCにかけてビタミンD画分を分取した後,分析HPLCにかけてクロマトグラムのビタミンDのピーク面積から試料中のビタミンD含量を求めた。 試料にはマサバ,カツオ,コアジ,サンマ,ウルメイワシ,ブリ,ウナギ,トビウオ,およびスルメイカを用いた。HPLC法で分析されたマサバ,カツオ,ウルメイワシおよびブリ可食部のビタミンD含量(IU/100g)は,それぞれ380±90(n=5),450±88(n=4),210±28(n=5),および320±80(n=3)であり,四訂日本食品標準成分表(1982)の値(それぞれ330,420,200,および360IU/100g)に近似していたが,コアジ(120±20),サンマ(530±80),ウナギ(707±65),トビウオ(129±31)などのビタミンD含量は,食品標準成分表の値(それぞれ0,340,150,および20)と大きく異なっていた。なお,スルメイカ肉にも含量は低いがビタミンDが検出された。したがって,水産食品のビタミンD含量は,新しいHPLC法で分析し直して,四訂日本食品標準成分表(1982)のビタミンD値を改定する必要があること,および同一魚種でも個体によってビタミンD含量がかなり異なることが分かった。 ^<1)>小林 正・岡野登志夫(1983).ビタミン学実験法[I],pp.94-101,東京化学同人.
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