研究概要 |
1.圧密と透水性の関係:平成6年度に製作した圧密透水試験装置に以下の改良を加えた。(1)載荷装置を自動制御可能なものに改造。(2)精密な定位水頭装置と浸透測定装置を開発。これを用いて,2種の粘土について二次圧密過程および応力緩和過程中の透水係数を精密に測定した。その結果,間隙比の低下に対する透水係数の低下割合は,二次圧密中の方が一次圧密中より高いという結果が得られた。これは,透水に有効な団粒間間隙の狭さく部が二次圧密過程で圧縮するのに対し,一次圧密過程では主に肥大部が圧縮するためと考察した。応力緩和中の透水係数の変化はなかった。 間隙径分布の測定:2種の土について,39〜1,254kPaの範囲で一次圧密終了時,二次圧密途中,二次圧密終了時の供試体を液体窒素凍結し乾燥させて試料を作成した。これらの試料の全間隙,封入間隙,自由間隙の間隙径分布を水銀圧入法(2回侵入法)により測定した。結果を新たに開発した手法より間隙量変化分布図に整理した。その結果,火山灰質粘性土では一次圧密中の圧縮は主に封入間隙の圧縮によること,二次圧密中の圧縮は主に自由間隙の圧縮によることが示され,それぞれ団粒間間隙,団粒内間隙の圧縮にほぼ対応すると考察した。一方,流紋岩風化土では圧縮性の自由間隙が存在しなかった。 以上をまとめて,圧密の諸過程で生ずる粗間隙および微細間隙の圧縮の実体,機構について,実験結果を総合して考察した。今後は供試土の種類を増やしてさらに実験結果を集積すると共に,実体に即した圧密モデルを構築する計画である。
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