研究概要 |
本研究の目的は,施設畑における水利用の実態を明らかにし施設畑の用水計画を検討することである。そこで用水利用実態を明らかにするために,施設畑及び施設畑を営む普通畑地帯の用水利用実態を調査した。またハウス内外で微気象と土壌水分動態を測定し,用水量を気象データから推定する可能性を探った。 実施した調査と測定及び成果は以下の通りである。 1.施設畑(ビニールハウス)として,岡山県総社市(ナス)と鳥取県大栄町(スイカ)のビニールハウスにおいて,ハウス内外の微気象,土壌水分量の変動,潅水量などの測定を実施した。 その結果,ビニールハウスでは露地に比べ高温,日射の減少等が定量的に確認された。ハウス内気象データからペンマン式により計算した蒸発散位と,水収支式により求めた蒸発散量とがほぼつり合い,ペンマン式をハウス内蒸発散量の推定に適用できる可能性が高いと考えられる。 2.施設畑と隣接する露地畑(鳥取県東伯町の芝畑と大栄町のブロッコリ畑)において,施設畑と露地畑の対比のもと,微気象と土壌水分動態の測定を行った。 3.東伯農業水利事業の受益地(施設畑を含む普通畑地帯,鳥取県東伯町,大栄町)において,時間あたりの幹線水路流量とファームポンドへの揚水量のデータを整理して,地区レベルの用水利用実態を,またアンケートを実施し作物別に使用水量の実態を明らかにした。 用水利用時間が朝夕に集中していること,その時間あたりの使用水量の変動をファームポンドが用水計画通りに巧く吸収している様子が確認できた。また,降雨の状況により使用水量が変動し,とくに干天が続くと使用水量が増加すること,作物により1回あたりの潅水量,潅水頻度,潅水時刻が異なることも分かった。
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