研究課題/領域番号 |
06660347
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用動物科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山口 高弘 東北大学, 農学部, 助教授 (20111297)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1994年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 牛胸最長筋 / 筋肉内脂肪 / 脂肪芽細胞 / 脂肪前駆細胞 / 成熟脂肪細胞 / 分化成長因子 / 脂肪交雑 / 牛最長筋 |
研究概要 |
牛の骨格筋内の脂肪組織は脂肪交雑として、枝肉の肉質を評価する上で重要視されている。骨格筋内の脂肪細胞の分化・成熟とその関与因子を細胞生物学的に明らかにすることは、脂肪交雑の形成機序を理解する上で、学問的のみならず産業的にも有意義である。本研究では、培養系で牛の骨格筋内由来の脂肪芽細胞からの成熟脂肪細胞の分化誘導法を確立し、その関与因子の作用と出現した脂肪細胞の細胞化学的性状を明らかにすることにより、筋肉内脂肪組織形成の解析を細胞生物学的に試みた。 平成6年度は、牛胎児の最長筋、腹鋸筋から調製した脂肪芽細胞の初代培養で脂肪細胞の分化誘導に最適な培地とその分化誘導に必要な因子の検索を行った。また、培養系で誘導された脂肪細胞の細胞化学的性状の解析を試みた。平成7年度は牛の胸最長筋の脂肪芽細胞を使用して、脂肪細胞の分化誘導因子の作用機序を詳細に検討した。さらに、筋種間および加齢に伴う筋肉内脂肪細胞の分化・成熟能の相違を比較、検討した。 その結果、本研究において、下記の事柄が解明された。 1.胎児の胸最長筋由来の脂肪芽細胞からの脂肪細胞の分化誘導は10%の牛胎児血清と1.5%の豚胎児抽出液を添加したDMEMで単層培養を作成し、その後、デキサメサゾン、インスリン、トランスフェリン、トリヨードサイロニンを添加した無血清DMEM/Ham F12に交換して培養することにより達成された。 筋肉内脂肪芽細胞細胞からの脂肪細胞の分化・成熟には、デキサメサゾンとインスリンの培地への添加が必要であり、どちらか一方のみの添加では脂肪細胞は出現しなかった。 3.筋肉内脂肪細胞の分化・成熟に関して、デキサメサゾンは培養全期間を通して存在することが不可欠であり、特に、脂肪芽細胞の増殖および脂肪前駆細胞の誘導により効果的に作用し、その至適濃度は100nM〜1μMであった。一方、インスリンは脂肪前駆細胞から成熟型脂肪細胞の誘導により効果的であった。 4.脂肪交雑が形成されやすい腹鋸筋、中程度に形成される胸最長筋、形成され難い腓腹筋の脂肪芽細胞からの脂肪細胞の分化・成熟能は各々の筋肉の脂肪交雑の程度に相応し、腹鋸筋、胸最長筋、腓腹筋の順に高いことが判明した。 5.脂肪芽細胞からの脂肪細胞の分化・成熟は胎児の胸最長筋だけでなく、生後14ヶ月齢の胸最長筋においても誘導されることが確認された。 6.培養系で誘導した筋肉内脂肪細胞は間葉系由来であり、LPLを生合成し、F-VIIIが陽性で筋肉内脂肪組織の脂肪細胞の性状と一致した。
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