| 研究概要 |
1.家禽の産卵性を向上させるための基礎的研究として,卵巣機能のうちとくに卵胞成熟におけるステロイドホルモンの役割を明らかにするため,卵巣における同ホルモンレセプター発現の制御機構を追究した。
2.卵胞壁のプロジェステロン,アンドロジェンおよびエストロジェンのレセプター(それぞれPR,ARおよびER)の局在を免疫組織化学およびウエスタンブロット解析で検索した。顆粒層細胞は成長期卵胞でARおよびER陽性であったが,成熟卵胞ではARおよびPR陽性であった。卵胞膜線維芽細胞は成長期および成熟卵胞のいずれの卵胞でもPRおよびAR陽性で,さらに卵胞膜アロマターゼ細胞は成長期卵胞ではER陽性であったが,成熟卵胞では同陰性を示した。これらの知見から,エストロジェンが卵胞の正常発育を促進し,プロジェステロンが下垂体前葉ホルモンの非存在下で排卵を誘起することを示唆した最近の研究結果を裏付けるた.
3.顆粒層細胞PR誘導の制御機構を追究した。黄体形成ホルモン(LH)およびサイクリックAMPがin vivoまたはin vitroでPR発現作用を示すことが明らかにされ,LHがプロテイキナーゼA系を通じて顆粒層細胞PRを誘導することが示唆された。
4.卵胞成熟における卵胞卵の役割を検討した。卵胞卵を破壊すると,排卵誘起ホルモンであるLHおよびプロジェステロンの分泌が抑制されたので,卵巣ステロイドホルモンレセプター発現調節への卵の役割が示唆された.さらに,PRの遺伝子発現を追究するためのin situハイブリダイゼーション法を検討し,これの方法を確立した.
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