研究概要 |
早期離乳直後の子牛におけるN代謝調節機構の存在を確認し、微生物態蛋白質合成量の変化を明らかにする目的で、ホルスタイン種雄子牛を用いて計3回の実験を行った。実験1:4週齢離乳子牛4頭を供試した。これらには離乳1週前から固形飼料を与え、離乳後1,6,11,20週目にN出納、血漿中IGF-I濃度、および尿中プリン誘導体(PD)と3-MH排泄量を測定した。その結果、離乳後1週目は摂取Nおよび吸収Nの蓄積効率が著しく低かったが、6,11週目は有意に亢進し、20週目は低下した。1週齢から固形飼料を与えて5週齢離乳した場合は同様の亢進が離乳後1,6週目に見られたことから、離乳時のルーメン発達程度がN利用性の代償性亢進の時期や長さに影響することが示唆された。血漿中の全IGF-Iは離乳後増加し続けたが、遊離IGF-I濃度は6週目に急増し、以後はほぼ一定であった。尿中3-MH量も離乳後増加し続けたが、筋肉合成の代謝回転は6週目で最も高く、分解のそれはほぼ一定であったため、筋肉へのN蓄積は、6,11週目で有意に増加した。一方、尿中PD排泄を基に推定した小腸移行微生物態N量(IMN)は、日量では離乳後増加し続けたが、摂取N当りでは離乳後1週目で最大となり、既報のIMN推定式の子牛への適用に疑問が生じた。実験2:子牛4頭を供試し、1週齢から無核酸代用乳のみを1日500g(18日間)、250g(5日間)および750g(5日間)給与した。尿中PDは代用乳量にかかわらずほぼ一定で、その結果内因性の尿中PDは0.705mmol/W^<0.75>とみなされ、既報の値(0.493mmol/W^<0.75>)より高かった。実験3:5週齢離乳子牛4頭を用い、離乳後1,6,11,19週目に食道溝経由でプリン塩基(アデノシン、グアノシン)100mmolを3日間連投した際の尿中PD増加量から、小腸流入プリン塩基の尿中排泄割合を求めた。その結果、PDとしての尿中排泄割合はそれぞれの週で54.9,27.6,36.3,46.6%となり、離乳後の日数経過とともに変動した。
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