研究課題/領域番号 |
06660364
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用動物科学
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
田名部 雄一 麻布大学, 獣医学部, 教授 (30021679)
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研究分担者 |
岡林 寿人 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (60130887)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1994年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | モンゴル在来犬 / サプサリ / 韓国在来犬 / モンゴルのオオカミ / タンパク質多型現象 / 主成分分析 / 血球ヘモグロビンA(Hb^A) / 血球ガングリオモノオキシゲナーゼg(Gmo^g) |
研究概要 |
1.モンゴル在来犬は、大型長毛のモンゴルと、これと比べて体型がやや小さく短毛のタイガの2つに分れる。毛色はブラックアンドタン(黒褐)と黒である。この両系統の合計101頭について、血液タンパク質の多型を調べたところ、系統間に大きな差は認められなかった。モンゴル犬は、血球ヘモグロビンA(Hb^A)の頻度が0.995と著しく高かった。血球ガングリオシドモノオキシゲナーゼg(Gmo^g)の頻度は0.109であった。また血球エステラーゼ2^F(Es-2^F)の頻度は0.934と著しく高かった。主成分分析の結果は、この犬種が北サハリン在来犬や韓国在来犬(珍島犬、済州島犬)など東北アジア在来犬などど近い関係にあることを示している。 2.サプサリは古くから韓国にいた在来種であるが、1992年に韓国政府により天然記念物に指定された。中型長毛で、長い毛が顔面を覆っている。青色と黄色(赤色)の2つの毛色がある。この40頭について血液タンパク質の多型を調べたところ、血球血球ヘモグロビンA(Hb^A)の頻度が0.538、血球ガングリオシドモノオキシゲナーゼg(Gmo^g)の頻度は0.452、血漿プントランスフェリンA(Ptf^A)の頻度は0.842、血球エステラーゼ2^F(Es-2^F)の頻度は0.430と著しく高く、東北アジアの犬の特色を持っていた。主成分分析の結果、サプサリは珍島犬、済州島犬と近いことが分った。 3.モンゴルに生息するオオカミ11頭の血液を採取してその型を調べたところ、血球ヘモグロビンA(Hb^A)の頻度が0.818、血球ガングリオシドモノオキシゲナーゼg(Gmo^g)の頻度は0.262、血球エステラーゼ2^F(Es-2^F)の頻度は0.853といずれもかなり高かった。すでに調べたヨッロッパオオカミやインドオオカミでは、血球ヘモグロビンA(Hb^A)と血球ガングリオシドモノオキシゲナーゼg(Gmo^g)の遺伝子は全く見いだされておらず、Hb^FとGmo^gに固定されている。これらのことから、東北アジアのイヌに見いだされるHb^AおよびGmo^g遺伝子は中国など周辺の地域のオオカミに由来するものであり、東北アジアのイヌの成立過程でこのオオカミから遺伝子の流入があったと推定された。
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