研究課題/領域番号 |
06670059
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
尾野 恭一 九州大学, 医学部, 助手 (70185635)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1994年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 同房結節細胞 / 遅延整流K電流 / クラスIII型抗不整脈剤 / 単一チャネル電流記録 / ペースメーカー電位 / ムスカリン性Kチャネル |
研究概要 |
家兎心臓より洞房結節細胞を単離し、パッチクランプ法により膜電流記録を行い、種々のイオン環境下で遅延整流K電流を、クラスIII型抗不整脈剤を用いて単離した。その結果、洞房結節細胞においては、心室筋細胞において同定されている遅速2種の遅延整流K電流のうち、活性化の時間経過の速い成分のみが存在する事が明かとなった。この速いK電流はKイオンに対して選択性が高く、脱分極によって活性化するが、強い脱分極側では逆にコンダクタンスが減少するという内向き整流特性を有する事がわかった。単一電流記録では、このK電流の内向き整流特性が脱分極側での開確率減少による事が判明し、しかも細胞内側面のMg、Ca等のイオン濃度を変化させても開確率に有為な変化が認められない事から、開確率減少がチャネル固有のゲート機構によるものと結論した。これらの結果に基づいて、ペースメーカ細胞の活動電位に対するKチャネルの役割を検討したところ、細分極相から最大弛緩期電位にいたる活動電位下降相を決定している事が明かとなった。しかしながら従来の研究で指摘されていた活動電位ピーク付近での関与は否定的で、この付近では他のKチャネルやイオン電流の関与が示唆された。これらの結果は現在American Journal of Physiologyにおいて印刷中である。 尚、本研究中種々のイオン環境下で同房結節の膜電流を記録すると上記所見の他、新たな現象が見いだされた。高K液中では定常状態において著明なチャネルノイズが観察され、これがムスカリン性Kチャネルの自発開口(アゴニストがない状態でみられるチャネル活動)によることを突き止めた。これにより本電流系のペースメーカ電位への関与を定量的に測定する事ができた(Journal of Physiologyに発表)。
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