研究概要 |
環境温が皮膚交感神経活動中の発汗神経活動成分および血管運動神経活動成分に及ぼす影響について検討した.5人の健常成人男子を対象とし,臥位にて皮膚交感神経活動を微小神経電図法を用いて,先端直径1μm,インピーダンス3〜5MΩのタングステン微小電極2本を脛骨神経および腓骨神経に刺入し,両神経から同時記録法により皮膚神経束中の交感神経節後遠心性線維を記録した.発汗は換気カプセル法にて,皮膚血流量はレーザードプラー血流量計にてモニターした.この末梢効果器である汗腺および皮膚血管括約筋の活動から生ずる発汗波および皮膚血流量の低下をもとに,皮膚交感神経活動を発汗神経活動成分および血管運動神経活動成分に分類し,これらの成分の変化が環境温によりどのように影響されるかを検討した.環境温を25℃から34℃に上昇させると,腓骨神経における発汗神経活動成分と血管運動神経成分は,ともに増加したが,脛骨神経からの皮膚交感神経活動は、両成分ともに抑制された.環境温を34℃から18℃に低下させると,脛骨神経においては,発汗神経活動成分および血管運動神経活動成分ともに増加したが、脛骨神経においては、血管運動神経活動成分が増加し、発汗神経活動成分はむしろ減少した。本研究の結果は、皮膚交感神経活動中の発汗神経活動成分と血管運動神経成分は環境温により相違をもって影響されていることを示す.脛骨神経および腓骨神経中の皮膚交感神経活動の発汗神経活動成分および血管運動神経活動成分の違いは、有毛部と無毛部における精神性および温熱性の,発汗あるいは血管収縮に関与する可能性が示唆された.
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