研究概要 |
ラット,ウサギ,イヌ摘出血管,前立腺などを用いてnoradrenaline収縮に対する各種α_1アンタゴニストの親和性を調べ,α_1アドレナリン受容体がprazosin高親和性のα_<1A>,α_<1B>,α_<1C>,α_<1D>とprazosin低親和性のα_<1L>,α_<1N>に分けられることを確認した。また,ヒト血管では,主にprazosin高親和性のα_<1B>サブタイプが分布すること,これに対し,前立腺では低親和性のα_<1L>サブタイプが交感神経性アドレナリン作動性反応に関与していることを,上記機能実験および^3H-prazosinを用いた結合実験より明らかにした。これらの結果より,高血圧発症に関与するヒト血管のα_1アドレナリン受容体はα_<1B>サブタイプであることが示唆された。次に,まだ遺伝子レベルで構造が決定されていないα_<1L>サブタイプのクローニングを試みた。α_<1L>サブタイプはウサギ肝臓にも発現されていたことにより,ウサギ肝臓よりmRNAを抽出し,cDNAをつくり,スクリーニングをして2つのポジティブクローンを得た。COS-7細胞に発現した結果,それらはα_<1C>とα_<1L>であった。現在,a_<1L>サブタイプの生体内分布,薬理学的特性を検討中である。
|