研究概要 |
我々は第一に,6R-BH_4結合アミノ酸配列のモチーフを既知の6R-BH4結合蛋白質(チロシン及びトリプトファン水酸化酵素や一酸化窒素合成酵素)のアミノ酸配列から予想して,数種類のオリゴヌクレオチドプローブを作成した。ラット脳,培養神経細胞から精製したポリA-RNAをナイロンメンブレンに転写し,これらのプローブを用いてローストリンジェンシーの条件でハイブリダイゼーションを行ったところ,数本の信号が得られた。そこでλgt-10,λgt-11を用いてcDNAライブラリーを作成し,6R-BH_4プローブを用いてプラークハイブリダイゼーションによるλgt-10ライブラリーのスクリーニングを行った。λgt-10ライブラリーから得られたクローンを順次シークエンスしているが,現在までに構造の判明したうちの第一のものは残念ながらBrain-TypeのNitric Oxide Synthase(NOS)と思われた。COS細胞を用いて発現させてみると6R-BH_4,Calmodulin/Ca^<2+>に依存したアルギニンから一酸化窒素(NO)の産成がみられた。しかしながら,NOSとクロスハイブリダイゼーションしたプローブはNOSそのものから取った塩基配列ではない。従って今後新しい塩基配列をコードするクローンが,我々の考案した6R-BH_4プローブによって分離される可能性が高いと思われる。現在もクローニング及びシークエンシングを続行中である。λgt-11ライブラリーについては,これを大腸菌に感染させた後ナイロンメンブレンに発現蛋白質を吸着させ,この蛋白質とトリチウムラベルした6R-BH_4との結合性をオートラジオグラムで検討する事によってスクリーニングを行った。しかしながら,トリチウムラベルは効率がおもわしくなく,また[^3H]6R-BH_4の精製回収にも多大な時間が必要とされるため実験回数に制限がかっており,今のところ有力なクローンは得られていない。
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