研究概要 |
1.rho遺伝子産物(rho p21)の蛋白質チロシンリン酸化における役割:線維芽細胞でbombesin,endothelin刺激により惹起されるfocal adhesion kinase(p125FAK)およびpaxillinのチロシンリン酸化が、C3酵素によるrho p21の不活化によって特異的に抑制された。またC3酵素処理細胞では上記刺激後の細胞接着斑のチロシンリン酸化の亢進とストレス線維の形成が阻害された。これよりrho p21が蛋白質チロシンリン酸化調節を介して細胞接着・細胞骨格形成を制御している可能性が示唆された。 2.renaturation kinase assayを用いてrho p21の下流で活性化されるキナーゼの同定:lysophosphatidate(LPA)で刺激した細胞では、PVDF膜上で分子量145K,85K,64K,60K,43KのSer/Thrキナーゼの自己リン酸化の増強が観察された。これらのうち、分子量43KのキナーゼはGiを介して活性化され、MAPキナーゼであること、一方、60K,64K,85K,145KのキナーゼはGqおよびrho p21の下流で活性化されることが明らかになった。本研究の結果からrho p21を介して制御されるキナーゼカスケードの存在が示唆された。 3.[^<35>S]γGTP・rho p21をプローブに用いたligand overlay法およびrho p21をbaitとしてtwo hybrid法を用いてrho p21の標的分子の検出を試みた。前者の方法によりGTP・rho p21と特異的に結合する分子量165Kの蛋白質が得られ、また後者の方法ではrho p21と反応する3つの異なる遺伝子が得られた。現在これらの同定を進めている。
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