研究概要 |
これまでに5種類の哺乳動物(ヒト、ウシ、ラット,マウス,モルモット)のヒスタミンH1受容体についてウシに関してはcDNAを,また,それ以外についてはゲノム遺伝子をクローン化した.ヒスタミンH1受容体にはその一次構造内に7箇所の膜貫通領域と考えられる疎水性の高い領域が存在しており,GTP結合蛋白質にそのシグナルを伝達する光の受容体であるオプシンなどと同じ受容体ファミリーの一つであることが判明した。培養細胞に発現させたところヒスタミンによって細胞内のイノシトール3燐酸の量が増加することが確認され実際に機能することが確認できた。クローン化したヒトH1受容体の蛋白質一次構造について種による違いを比較したところそのホモロジーはウシ,ラット,マウス,モルモットH1受容体に対してそれぞれ81%,78%,75%,71%であることが判明した.ヒト,ラット,マウス及びモルモットヒスタミンH1受容体のゲノムDNAはいずれもintronless遺伝子であることを確認した.HI受容体の分子進化のスピードは他のimtronを持つ遺伝子の進化スピードより速いと考えられた。H1受容体にintronがないためにH1受容体遺伝子にhomologous recombinationが他のintronを持つ遺伝子に比べ高頻度で起こっている可能性が考えられた。これはintronの機能としてhomologous recombinationの抑制があることを示唆している.H1受容体遺伝子の上流にはAP1,AP2 siteが存在し、又、ヒトH1受容体mRNAがフォルボールエステルであるPMAによって誘導されることをみいだした。これはヒスタミンH1受容体が炎症や免疫に関与していることを示唆している。ヒトでは第三染色体p25にその遺伝子が存在した.ヒトH1受容体の転写開始点は翻訳開始部位から41bpと118bp上流の2箇所であった。
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