研究概要 |
IRS-1の生理的役割を明かにするためには、IRS-1に対する特異抗体の作製が必須であり、モノクローナル抗体の作製を行ない,報告した。次に、IRS-1遺伝子を大腸菌にて発現し、このリコンビナントIRS-1を試験管内でリン酸化した。以上のモノクローナル抗体とリン酸化IRS-1を用いて、IRS-1に結合する信号伝達分子,及びIRS-1様分子の遺伝子クローニングを行った。得られた遺伝子は、抗IRS-1モノクローナル抗体と直接反応したHH109と命名した。HH109によりコードされる蛋白のアミノ酸配列中に複数のリン酸化可能互部位が存在するが、生理的にインスリン情報伝達系にかかわっているか否かは、現在のところ不明である。なを、本研究中、米国のグループによりIRS-2の遺伝子クローニングの報告がなされた。しかしHH109とIRS-2との間におけるアミノ酸配列の相補性は、みとめなかった。一方、別の抗IRS-1抗体が、IRS-1遺伝子ノックアウトマウスの実験より、IRS-1以外のインスリンに応答してチロシンリン酸化される蛋白質と結合することを見いだした。さらに米国のグループとは、独立して得られたIRS-2の遺伝子を用いて,この抗IRS-1抗体が反応したチロシンリン酸化蛋白質がIRS-2であることを証明した。さらに、新たなチロシンリン酸化蛋白質を検出するために、IRS-1ノックアウトマウスと抗チロシンリン酸化抗体を用いて、IRS-1,2以外のチロシンリン酸化蛋白質の発現を検討した。
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