研究概要 |
1.研究目的 本研究の目的は,従来詳細な研究の少ない,多数の膠原病症例における肝病変を病理学的に詳細に検討する事にある。また膠原病肝と自己免疫性肝炎肝における肝病変の病理学的な比較検討も行う。 2.研究結果 1)各種膠原病における肝病変の病理 各種膠原病138例における肝病変を病理学的に検討し,各種膠原病の肝病変の病理を明らかにした。 2)膠原病における壊死性動脈炎の病理 膠原病における壊死性動脈炎の発生頻度,病理像,肝梗塞の発生頻度を明らかにし,肝内動脈炎の肝機能に及ぼす影響についても明らかにした。 3)膠原病における胆管病変の病理 膠原病における胆管病変の発生頻度,病理像を明らかにし,胆管病変の肝機能に及ぼす影響についても明らかにした。 4)膠原病における慢性肝疾患の病理 膠原病における慢性肝疾患の発生頻度,病理像を明らかにした。慢性肝疾患の肝機能に及ぼす影響についても明らかにした。 5)膠原病における肝の結節性再生性過形成の病理 膠原病における肝の結節性再生性過形成の合併頻度について明らかにした。 6)膠原病における肝機能異常の臨床病理学的研究 膠原病症例における肝機能異常の発生原因について明らかにした。 7)膠原病と自己免疫性肝炎における肝病変の病理 膠原病37例の生検肝と自己免疫性肝炎19例の生検肝を病理組織学的,免疫組織学的に比較検討し,膠原病と自己免疫性肝炎の両者にとって重要な肝疾患は胆管病変である事を明らかにした。 3.本研究のまとめと今後の研究の展開 本研究では,膠原病における肝病理の多くを明らかにし,また膠原病における肝機能異常の原因も明らかにした。膠原病と自己免疫性肝炎における共通する肝病変は胆管障害である事が明らかになったが,膠原病と自己免疫性肝炎の比較はさらに検討し,今後,免疫異常における肝病変の集大成を行う必要がある。
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