研究課題/領域番号 |
06670223
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
笹原 正清 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (20154015)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | クローニング / インサイツ-ハイブリダイゼーション / 神経 / 血小板由来増殖因子 / 遺伝子 / 移植 / グリオーシス / 虚血 / 脳 / マクロファージ / 外傷 |
研究概要 |
これまでに、猿の脳を用いて血小板由来増殖因子B鎖(PDGF-B)およびその受容体が中枢神経に豊富に分布している事を見いだした。当研究では、1)正常ラット脳での発現:成熟ラット脳を用い、インサイツ-ハイブリダイゼーションにより、広い範囲にわたる神経細胞や下垂体中葉にPDGF-B遺伝子が分布すること、ノザンブロットにより遺伝子は約3.5および2.6kbよりなること、増殖促進活性をしめすPDGF-B蛋白発現のあることを示した。2)脳病変および移植における発現調節:ラット脳を用いた中大脳動脈結紮による局所脳虚血、新生幼弱ラットの低酵素/虚血負荷モデルでは病変部周囲の神経細胞を主として早期からPDFG-Bの発現が観察された。嗅脳の移植モデルでは、神経繊維の再構築に関連したPDGF-Bの発現があった。これらは、PDGF-Bが傷害からの神経細胞の保護や神経繊維の再生に役割を果たすことを示唆する結果があった。一方、外傷の後には反応性のグリオーシスと関連したPDGF-B発現が見られ、脳虚血後では一過性のPDGF-B発現亢進に引き続いてPDGF-β受容体発現がグリア細胞や神経細胞に見られ、PDGF-Bが脳損傷修復過程にも重要である事が示唆された。3)脳からの遺伝子クローニング:脳虚血後にPDGF-Bの、特に、通常より短い遺伝子の発現が急激に増加することを見いだした。PCRを用いて、ラット脳PDGF-B遺伝子のクローニングに成功した。PDGF-B遺伝子の5'-端の非翻訳領域は蛋白翻訳を抑制することが知られている。今回の研究から、病変に出現する短い遺伝子が5'-端の非翻訳領域の欠けたものである事がわかった。必要に応じて、蛋白翻訳抑制機構が解除された短い遺伝子が発現され蛋白合成の鋳型となるという、生体におけるPDGF-B蛋白発現のための新たな調節機構の存在を示唆する結果を得た。4)まとめ:種々の手法を用い、脳神経細胞でのPDGF-B合成、病変や移植と関連した発現調節を示し、さらに、遺伝子クローニングによりその調節機構の一部を明かにした。
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