研究概要 |
1.マウス皮膚多段階発癌系におけるコネキシン発現の解析(Carcinogenesis16:1287-1297,1995)(1)扁平上皮癌では、正常表皮、papillomaに比べて、ギャップ結合が有意に減少しており、癌細胞の脱分化に伴って、コネキシン26の減少が見られるが、コネキシン43は、ほぼ一定であること、(2)癌の浸潤部位では、コネキシン43の更なる減少が見られること、(3)リンパ節への転移部位では、癌細胞は、コネキシン43をほとんど発現していない一方、コネキシン26の発現が見られること、(4)E-cadherinは、扁平上皮癌の原発、浸潤、リンパ節転移部位いづれでも細胞膜上への局在が保たれることを明らかにした。 2.ヒト食道癌細胞株における,コネキシンの発現及び,ギャップ結合の機能解析(J Cancer Res Clin Oncol 1994,120:445-453) ヒト食道癌細胞株において,細胞間コミュニケーション能の減少,ギャップ結合蛋白質のmRNA,蛋白発現,局在の異常が起こっていることを明らかにした。 3.ギャップ結合の発癌過程における異常機構の解析 発癌プロモーターであるDDTをラットに投与したときの,肝臓におけるギャップ結合細胞間コミュニケーションの機能解析及び,コネキシンの発現を解析することにより,発癌プロモーターがギャップ結合細胞間コミュニケーション能を阻害すること,コネキシンの発現を変化されることを明らかにした(Carcinogenesis 1994,15:517-521)。 ハムスター舌発癌系における扁平上皮癌を,in situ hybridizationにより解析し,コネキシン26mRNAも減少していることを見いだし,癌組織におけるコネキシン蛋白の発現低下がmRNAレベルでも起こっていることを明らかにした。
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