研究課題/領域番号 |
06670244
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
神代 正道 久留米大学, 医学部, 教授 (90080580)
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研究分担者 |
家村 昭日朗 (家村 昭日郎) 久留米大学, 医学部, 助手 (40212724)
矢野 博久 久留米大学, 医学部, 講師 (40220206)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1995年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1994年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 肝細胞癌 / 脱分化 / 増殖因子 / オートクライン機構 / 塩基性線維芽細胞増殖因子 / 線維芽細胞増殖因子受容体 / アポトーシス / Fas抗原 / 血管新生 |
研究概要 |
1.細胞増殖促進に関与する因子:同一クローン由来の分化度・生物学的性状の異なる肝細胞癌細胞株HAK-1AとHAK-1Bを用いて、既知の各種増殖因子の細胞増殖促進効果に関する検討を行った結果、HAK-1A及び-1Bをはじめ多くの肝細胞癌細胞株はbFGFとそのリセプターであるfibroblast growth factor receptor-1を蛋白及びmRNAレベルで種々の程度に発現していることが示された。中和抗体や外来性のbFGFを用いたin vitro及びヌードマウスを用いたin vivoの実験の結果、高分化型の肝細胞癌細胞株であるHAK-1Aは、bFGF/FGFR-1系のパラクライン機構のみを介し増殖するが、HAK-1Aが脱分化して生じたより悪性度が高いクローンのHAK-1Bでは、パラクラインとオートクラインの両者の機構を介し増殖する事と、bFGF/FGFR-1は、in vivoにおいても腫瘍細胞の増殖に関与しているが、血管新生には関与は認めないという結果を得た。他の増殖因子に関しては、これら細胞株はEGF familyのリセプターであるEGFRを発現し、EGFRの中和抗体投与により増殖が抑制された。TGF-αの増殖促進効果は低く他のEGF familyの関与が示唆されさらなる検討が必要である。 2.細胞増殖抑制・細胞死に関与する因子:Transforming growth factor-βは、これら細胞株に対し増殖抑制作用を示さなかったが、細胞死(アポトーシス)誘導蛋白であるFas抗原に関しては、HAK-1Aは、HAK-1Bに比べ明らかに高いレベルのFas抗原を発現し、更にFasのリガンドに対してもアポトーシスが誘導されやすいことが示された。 以上より、肝癌細胞は、癌細胞の脱分化に伴いbFGF/FGFR-1系の様な自己増殖機構を獲得すると同時にアポトーシスを回避し、総合的に増殖しやすい環境を形成していくことが示された。
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