研究課題/領域番号 |
06670272
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
永倉 貢一 東海大学, 医学部, 講師 (80142454)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1995年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1994年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 寄生原虫 / 腸管寄生原虫 / 原虫性下痢 / ホルモン様物質 / ホルモン輸送体 / Giardia lamblia / INDOLEACETIC ACID |
研究概要 |
寄生原虫は膜を通じた物質の取り込みや代謝産物の排泄をおこなうことでその生存が保証されている。これらはそれぞれの物質に特異的な膜を貫通する輸送体蛋白によって担われている。腸管寄生原虫の感染時にみられる「下痢」は原虫内のホルモン様物質が原虫外に放出された結果によって生じるという証拠が提出された。本研究の目的は、原虫性下痢がホルモン様物質によって生じることの証明と、もし存在するならば、その特異的輸送体蛋白を分子生物学的に同定し、下痢ホルモン説を検証することにあった。そこで、(1)原虫内のホルモン様物質(とくにセロトニンを中心として)の同定、(2)他の輸送体蛋白の遺伝子塩基配列を参考にして作成されたプライマーをもちいた輸送体蛋白の同定をおこなった。 まず第1に原虫膜に存在する輸送体蛋白の同定をおこなった。既知のほ乳類あるいは原虫から見いだされた輸送体蛋白の塩基配列から共通するアミノ酸配列を検索し、それに相当するプライマーを作成してPCRでの増幅をおこなった。その結果、いずれのプライマーによっても特異的な増幅産物は得ることはできなかった。また、原虫の組織免疫化学的染色ならびに原虫培養液と原虫破砕液中のセロトニンの定量実験から、ほ乳類で機能するセロトニンは存在しないことが明らかとなった。これらの結果は、原虫性下痢がホルモン様物質(とくにセロトニン)によって起きるとしたCairns(1989)の結果を否定することになった。もしホルモン様物質が関与するにしても、既知のセロトニンとはことなるものである可能性が高い。
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