研究課題/領域番号 |
06670303
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
関矢 加智子 北里大学, 薬学部, 講師 (30050579)
|
研究分担者 |
壇原 宏文 北里大学, 薬学部, 教授 (40114558)
二重作 豊 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (50014197)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1995年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1994年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | ストレプトリジンO / SLO / 溶血機構 / 電子分光顕微鏡 / ネガティブ染色 / リポソーム / 免疫電顕 / 孔形成毒素 / 電子分光型透過電顕 / 超微細形態 / 赤血球膜 |
研究概要 |
当該研究は、A群溶血レンサ球菌の産生するストレプトリジンO(SLO)による生体膜傷害機構を電子顕微鏡を用いて、超微形態的に解析することを目的としている。 1.平成6年度には、下記(1)(2)の成果が得られた。 (1)電子線損傷に耐える強くて薄い試料支持膜の改良を試みた。 (2)既報(J.Bacteriol.1993.9)のリングならびに冠状構造を再現性よく電顕観察可能な安定した赤血球膜の作製条件を検討し、ゴ-スト膜の凍結保存条件の設定に成功した。このため、ゴ-スト膜の長期保存が可能になり、常時安定した同一条件の赤血球膜が利用でき、実験時間を大幅に短縮できるようになった。 2.平成7年度には、このような成果から得られた実験材料を用い、SLOの赤血球膜上での会合、リング形成ならびに冠状構造の形成、孔形成による溶血に至る過程を、一次抗体に抗SLO抗体、二次抗体に金コロイド標識IgG抗体を用いた免疫電顕のネガティブ染色像により解析した。 (1)温度非依存的に進行するSLOの赤血球膜への結合の第一段階の過程 (2)温度依存的なリングならびに孔形成の第二段階の過程、を証明することができた。 3.さらに、平成6年に日本で初めて購入された電子分光顕微鏡(Carl Zeiss EM 902 A)を用いてリポソームでの解析を行なった。 (1)赤血球膜で観察された既報(前述)のリングや冠状構造だけでなく、リングを構成するSLO分子の直接観察に成功した。 (2)得られた像を画像解析した結果、リングが二重であることも確認できた。 (3)これらの構造に生体膜内蛋白の関与がないことが判明し、既報(前述)のモデルの正当性が証明された。 (4)SLOに結合した抗SLO抗体そのものを、標識や二次抗体の結合によらずに直接観察することもできた。 以上のような新知見をもとにSLOによる溶血機構へ新たな考察を加えることができた。 この様な電子分光顕微鏡での生物材料観察は、国内はもとより世界でも初めての試みとして、本実験目的の達成ばかりでなく、非常に価値あるものと考える。 現在、J. Bacteriol.に投稿準備中で、3月中には投稿の予定である。
|