研究課題/領域番号 |
06670320
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 泉 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (70158913)
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研究分担者 |
鐘ヶ江 裕美 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80251453)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ウイルスベクター / 遺伝子治療 / リコンビナーゼ / Cre / HBs抗原 / COS細胞 / 複製起点 |
研究概要 |
COS細胞とSV40の複製起点(ori)を併用した蛋白の大量発現系は広く研究室レベルで用いられているが、トランスフェクションによる遺伝子導入法では全細胞の10〜20%しか利用することができない。一方組換えアデノウイルスはCOS細胞を始めとして各種細胞へ高い遺伝子導入効率を示すが、直鎖状の遺伝子のため単独ではSV40系の正確な複製をおこす環状分子は生成しない。そこで組換えアデノウイルスと部位特異的リコンビナーゼCreを併用し、100%のCOS細胞へ複製可能な環状分子を導入する大量発現系(Ad-COS法)の確率を目的として研究を行った。Creは34bpのloxP配列を認識し、相同組換えに必要な一連の反応を単独で行うことが知られている。そこでSV40 oriと発現マーカーであるB型肝炎表面抗原(HBs)発現単位の両側にloxP配列をもつ組換えアデノウイルス(環状分子生成ウイルス)とCre発現組換えアデノウイルスを作成しCOS-1細胞へ同時感染した。その結果Creが発現することにより、環状分子生成ウイルス上のloxP配列で特異的な相同組換えを起こし、100%の細胞で設計どうりの環状分子が生成していたことがサザン法により明らかとなった。また生成した環状分子は3日目に最高500コピーにまで複製していた。Ad-COS法は、100%のCOS細胞へ複製可能な環状分子を導入する系であることが示されたので、従来のトランスフェクション法とAd-COS法での発現量をHBsのELISA法で測定し比較した。従来法は環状分子生成ウイルスと同じインサートを有するプラスミドをカルシウム法により遺伝子導入した。導入7日目までの発現蓄積量を比較したところAd-COS法では従来法の約5倍の発現量である8mg/リットルにまで達していることが示された。組換えアデノウイルスは神経や肝細胞等へも高い遺伝子導入効率を示すので、今後Ad-COS法とSV40T抗原発現組換えアデノウイルスを併用することで各種細胞における大量発現系の確立への発展性が示唆された。
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