研究概要 |
〔目的〕アレルギー患者末梢血リンパ球及び好塩基球の,アレルゲン特異的刺激によるIL-4産生を直接測定し,両細胞間でIL-4産生細胞としての能力,及び特質を比較することにより,アレルギー発症機構における役割を明らかにする。〔方法〕患者末梢血よりパーコール比重遠心法,及びmagnetic beadsを用いたnegative selection法により,リンパ球及び好塩基球を単離し,ダニ抗原刺激により産生されるIL-4を,高感度のbioassay法を用いて測定した。〔結果と考察〕ダニRAST高値(Score>3)を示す患者のリンパ球及び好塩基球は,ダニ特異的刺激によりIL-4を産生した。好塩基球のダニ刺激によるIL-4産生能は、リンパ球と比較して,そのポピュレ-ョンの少なさを考慮しても十分に高く(20〜500倍),好塩基球はリンパ球と共に患者生体内でル-チ産生源としての役割を担っていると考えられる。好塩基球は低濃度(1〜10ng/ml)のダニ抗原に応答し,高い値のIL-4を産生するのに対し,リンパ球のIL-4産生には高濃度(1〜10μg/ml)のダニ抗原を必要とした。このアレルゲンに対する感受性の差異は,アレルギー発症におけるリンパ球と好塩基球の,IL-4産生細胞としての役割の違いを示唆する。一方,血清総IgE高値(RIST>2000IU/ml)を示し,ダニを含む複数のアレルゲンに対し高いRAST値を示す多感作患者リンパ球からは,ダニに対するIL-4産生を認めなかった。この結果は多感作患者は単感作患者と異なる発症機構を有することを示す。
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