研究概要 |
1.ヒトIg-βのgenomic cloningを終了し、Ig-β遺伝子が約2kbの長さにわたり4つのエクソンに分かれて存在することを明らかにした。これにより,既にクローニングされているIg-α遺伝子とあわせ,Ig-α,Ig-βのジーンターゲッティングの準備が終了した.しかしながら、B細胞株を用いた遺伝子導入の予備実験の結果、B細胞株での遺伝子導入の効率がかなり低いことが明らかになり、この系でIg-α,Ig-β欠損B細胞株を樹立するのは困難であると考えられた。 2.この結果を考慮し、目的を達成するための第2の方法としてIg-α、Ig-βを欠如したB細胞の突然変異株の誘導を試みた。B細胞株(Ramos,Daudi)に300-500radのγ線照射を行った後、培養液中に抗IgM抗体を加え表面IgM陽性のwild typeの増殖を抑制することで表面IgM陰性のクローンを選択的に増殖させ、最終的にpanning法で表面IgM陰性の変異B細胞株を得た。 3.現在、これらのクローンの内Ig-αまたはIg-βの欠損が表面IgMの消失の原因となっているものを同定中であり、これに変異Ig-α,Ig-β遺伝子を遺伝子導入することで当初の目的を達成する計画である。 4.1の解析中、ヒトIg-α,Ig-β遺伝子の転写産物に亜型の存在することが明らかとなった。この亜型は、B細胞活性化におけるB細胞リセプターの発現減少に何らかの関与をしているものと考えられる。
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