研究概要 |
T細胞の活性化に重要な役割を果たしている接着分子として、一昨年我々はヒトB70分子に対するモノクローナル抗体を作製しこの分子を単離同定したが、引き続きヒトB70cDNAを用いてマウスB70の遺伝子クローニングを行った。また、マウスにおけるin vivoおよびin vitroにおけるB70分子の役割を検討するためにラット抗マウスB7およびB70モノクローナル抗体を作製した。 (1)マウスB70とヒトB70のアミノ酸相同性は50%でかなり保存されていたが、マウスB7とは27%とかなり低かったが、共に免疫グロブリンスーパーファミリーに属する接着分子であることが明らかとなった。マウスおよびヒトB7およびB70は共にヒトとマウスのCD28とCTLA-4に結合できることが示された。また、B70分子のCD28およびCTLA-4に対する結合親和力はB7のそれとほぼ同等であった。 (2)B70分子の発言分布について検討したところ、概ねB7と類似していたが単球/マクロファージおよび樹状細胞等の抗原提示細胞における発現はB70の方が支配的で量的にも優位であった。マウス脾B細胞およびヒト末梢血単球におけるB7およびB70の発現誘導について比較検討したところ、刺激物質により発現の速度、量に差が見られた。遺伝子導入細胞を用いた実験から、B7およびB70のT細胞増殖,サイトカン産生,細胞障害活性増強に与えるcostimulatory能力はほぼ等しかった。 (3)B70分子は活性化マクロファージに発現される抗原として分類されていたCD86分子と同じであることが抗体の結合競合実験から明らかになった。 (4)さらに、作製した抗マウスB70とB7両抗体を投与し、異所性心移植の生着延長効果、骨髄移植モデルにおけるGVHD抑制効果,マウスSLEモデルにおける治療および発症抑制効果を得たが、単独では効果がなかった。現在そのメカニズムについて検討中である。
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