研究課題/領域番号 |
06670381
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
氏原 久充 山口大学, 医学部, 講師 (00213421)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 鉛 / 低レベル鉛被爆 / 発達神経毒性 / 培養海馬細胞 / 神経ネットワーク / P型カルシウムチャンネル / パッチクランプ法 |
研究概要 |
低レベル鉛被爆による小児の学習障害の発生機序を解明するために、培養ラット海馬細胞を用いて研究を行った。培養海馬細胞において形成される神経回路の機能に対する二価鉛イオンの影響をパッチクランプ法により検討した。研究を円滑に遂行するためにプロッター付きオシロスコープ(米国Gould社製・420)と電気生理データ収集・解析システム(オーストラリアADI社製MacLad/2e、米国Apple社製Macintosh/LC575)を購入し使用した。一月以上培養条件下で維持した海馬細胞において、隣接する二個の細胞より同時に細胞内記録を行い、一方の細胞を刺激することによって活動電位を発生させると、他方の細胞で主に興奮性のシナプス後電位が記録された。二価鉛イオンを1〜10μMの濃度で作用させると、このシナプス後電位は濃度依存性に抑制され、10μMでほぼ完全な抑制がみられた。そこで、シナプス伝達において重要な役割を担っている電位依存性カルシウムチャンネルに対する、鉛イオンの影響を検討した。バリウムイオンを電荷担体としてカルシウムチャンネルを通過するバリウム電流を測定した。高濃度の鉛イオン(10μM)ではバリウム電流のすべての成分がほぼ完全に抑制を受けたが、低濃度(1〜3μM)では高閾値カルシウムチャンネルのみが抑制され、低閾値カルシウムチャンネルは影響を受けなかった。選択的カルシウムチャンネル阻害薬のnimodipine、ω-agatoxin IVA、ω-conotoxin GVIAを用いて検討したところ、低濃度(3μM)の鉛イオンがω-agatoxinIVA感受性のP型カルシウムチャンネルを選択的に抑制することが明かとなった。以上のことから、低レベル鉛被爆においてはP型カルシウムチャンネルが阻害された神経ネットワークの機能障害が生ずることによって神経系の成熟が影響を受ける可能性が示唆された。
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