研究概要 |
我々は、産業化学物質の感作性を予知し、職業性感作物質を許容濃度表へ別表の形で標示するとともに、感作性物質の許容濃度設定のための情報を提供することが、職業性感作物質による呼吸器アレルギーの予防対策の首里津に貢献すると考え本研究を行った。 当研究室で作成した感作物質の分類表の素案をもとに、呼吸器感作物質に限定しその改定版を作成した。主な改訂点は、呼吸器感作物質の「感作性の信頼度」の基準を疫学的研究、症例研究および実験的研究ごとに設定し、分類を試みたことである。数種の感作物質を選定し、それらが適切に評価されるか検討を行った。その結果、概ねされらの適切性が確認されたが、疫学的根拠の基準の見直しが問題点として残された。感作性評価法については、感作マウスのリンパ球のサイトカイン分析がI型アレルギーを評価することに有用であることが初年度の研究で示唆されたので、さらに詳細に検討を行った。TDI塗布感作マウスにおいて塗布開始1、2週間目に、耳介肥厚試験と総IgEレベルを検討するとともに、リンパ球のin vitroでのIL-4,IL-2,IL-5およびIFN-γのPHA刺激誘導を行った。総IgEレベルは、量および期間依存的に上昇を示した。IL-2,IL-4,IFN-γのレベルは、1週間目に上昇し,IgEとIL-4レベルとの間に強い正の相関がみられた。耳介肥厚反応では有意な肥厚反応がみられ、IFN-γとの間に有意な正の相関がみられた。これらのことから、両サイトカインの分析が、即時型および遅延型アレルギーを惹起する感作性物質の評価に有用であることが示唆された。したがって、これに我々の開発したモルモットを用いた許容濃度設定のための実験モデルに導入することによって一連の感作性評価法が一応整うことになった。
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