研究概要 |
心筋梗塞の発症に深く関わると考えられるライフスタイルについて症例・対照研究により検討した。症例は北海道大学医学部循環器内科およびその関連病院において,臨床的所見に加えて冠動脈造影によって心筋梗塞と診断された男性確実例56名である。年齢(±3歳以内)および居住地域(札幌市を含む道央圏)をマッチさせた健康な男性住民を対照とし,症例1例に対して対照2名を設定した。面接調査(他記式)により,既往の要因(食生活,飲酒・喫煙習慣,労働環境,保健予防習慣,社会生活行動など)について直接聴取した。 単解析で有意差のみとめられた変数について,ロジスティックモデルをもちいて独立性の高い変数をスクリーニングした結果,下記の4分野で独立性の高い14変数が検出された。 1)食品摂取・食嗜好・食行動:和菓子を好む,野菜サラダを食べない,食事時間が不規則。 2)飲酒・喫煙:飲酒をしない,過度に飲酒する,たばこを1日に30本以上吸う。 3)労働環境・社会生活行動:1回の勤務が連続10時間以上,仕事の話を家族にしない,熱中すると気持の切替ができにくい,涙もろい。 4)保健行動・余暇・生活習慣:テレビの健康番組を観ない,健康に関する新聞記事を読まない,余暇にテレビを観てすごすことがない,睡眠時間が不規則。 独立性の高い変数について複合オッズ比を算出した。変数の複合数が増加するにしたがいオッズ比は飛躍的に高まった。
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