研究概要 |
作業療法を中心とするリハビリテーションの効果を検討するため,群間比較研究と単一システムデザインによる研究を実施した.群間比較研究では,作業療法を実施している対象者と実施していない対象者の2群に分類した.前者はさらに週1回以上実施群と週1回未満実施群に分けた.研究の開始時と6カ月後にパラチェック老人行動評定尺度を実施し,本尺度の合計得点,領域別得点,項目得点の事前-事後の得点の差が上記3群に有意な差が認められるかどうかをクラスカル・ワリス検定によって検討した.その結果,身体機能領域合計,身辺処理の排泄,更衣,身辺処理領域合計に有意差が認められた.3群の痴呆患者群について検討した結果,排泄,入浴,集団交流に有意差が認められた.非実施群の得点は全搬に事前検査でも低下しており,変化がなかったが,週1回未満実施群で低下する傾向があった.このことは,リハの実施頻度を増大する必要性を示しと思われた.また,幼児用の発達検査(JMAP)を反復測定指標とする単一システムデザインを5名の痴呆患者に実施した.その結果,感覚統合的アプローチを中心とする作業療法の実施後に,検査得点が有意に改善した.これらの項目は手続きに関するもので,作業療法の提供がこうした技能の改善をもたらすことが明らかにされた.
|