研究課題/領域番号 |
06670458
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
法医学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
宮崎 哲次 広島大学, 医学部, 助教授 (10144825)
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研究分担者 |
屋敷 幹雄 広島大学, 医学部, 講師 (40033998)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 法医中毒学 / 覚醒剤 / 血中濃度 / 部位差 |
研究概要 |
メタンフェガミン濫用者の法医解剖例において、異なる部位から血液を採取し、メタンフェタミンとその代謝物アンフェタミンの濃度を測定した。血液の採取部位は、肺動脈、肺静脈、左心腔、右心腔、下大静脈、大腿静脈、大動脈等である。血中覚醒剤の分析は、内部標準として3-フェニルプロピルアミンを用い、エクストレルートカラム抽出を行った後、トリフルオロ酢酸誘導体として、ガスクロマトグラフィー・質量分析法によって行った。これらの採取部位のうち、肺静脈血がもっとも高い濃度を示し、大腿静脈血がもっとも低い濃度を示した。同一死体から採取した血中ネタンフェタミン濃度は採取部位により、最大で4.3倍の開きがあった。同一死体から採取した画血液の中のメタンフェタミンとアンフェタミンの濃度比に明らかな差はなかった。動物実験の成績の詳細については現在検討中であるが、これら血液の採取部位による濃度の違いは死後生じたものであり、諸臓器に分布していた覚醒剤が、死後血液中に際分配されることによって生じたものであると考えられる。毛細血管が豊富で、しかも高濃度の薬物を含む臓器である肺に分布していた覚醒剤が速やかに肺血管内に移行することが、血中濃度の部位差を生じる、最も重要な機序の一つであると推測される。剖検時に採取した血液中の覚醒剤濃度は、必ずしも死亡時の濃度をそのまま示すものではない。剖検試料の中では大腿静脈血が死亡時の覚醒剤濃度をもっともよく反映していると考えられることから、分析試料として大腿静脈が推奨される。やむをえず、心臓を摘出する際に流出する血液を分析試料のする場合には、異常高値を示しうる肺動静脈血が混入していない血液、すなわち下大静脈血や右心房から流出する血液を用いるのが適当である。
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