| 研究概要 |
法医中毒学における広範な薬毒物スクリーニングのための固相抽出による前処理法の評価を行った。カートリッジカラムはExtrelut, Chem Elut, Bond Elut C18, Bond Elut C8, Bond Elut CN, Bond Elut Certify およびClean Screen DAUについて検討した。15種の薬物を全血に添加し、各カラムを用いて前処理し、GC-NPDで分析した。その際、水と混和する有機溶媒は大量の血液成分を溶出するためその使用を避けた。抽出法の評価は薬物の回収率および血液成分のバックグランドが薬物ピークに及ぼす影響の程度により行った。その結果、回収率ではClean Screen DAUが最も良く(塩基性薬物のみ)、Bond Elut Certify(塩基性薬物のみ),Extrelut, Bond Elut C8, Bond Elut C18, Bond Elut CN, Chem Elutの順であった。一方、バックグランドピークが薬物ピークに及ぼす影響はClean Screen DAUで最も少なく(塩基性薬物のみ)、Bond Elut CN, Bond Elut Certify(塩基性薬物のみ),Extrelut, Bond Elut C8, Bond Elut C18, Chem Elutの順に大きくなった。以上の結果から、今回採用した条件では、塩基性薬物に限っていえばClean Screen DAUが極めてよい結果を与えた。Extrelutは中酸性・塩基性薬物を含めた広範な薬物のスクリーニングに最も適していることが分かった。また、これらのカラム用いた前処理における検出限界はClean Screen DAUで0.005-0.02μg/ml, Extrelutで0.005-0.1μg/mlであった。本研究では、Bond Elut CertifyおよびClean Screen DAUの中酸性物質溶出液の分析は行わなかった。これは、この溶出液のGCへの注入がバルビツレート分析に著しい悪影響を与えたためである。この原因については目下、検討中である。
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