C型慢性肝炎における細胞障害機序を解明する端緒とすべく、我々はC型肝炎ウイルス感染肝細胞にアポトーシスが起こりつつあるか否かを以下のNICK END LABELLINGを用いて組織切片上で検証した。即ちIN SITUハイブリダイゼーションを用いでウイルス感染細胞を検出、連続切片を用いてNICK END LABELLNGによって検出されたアポートシスをおこしている細胞との関係を検討した。 方法 NICK END LABELLING アポートシスに特徴的な所見であるDNAの断裂(nick)を組織切片上で検出する方法で(J Cell Biology)で、具体的にはnickをterminal transferaseによりbiotin-dUTPで末端標識しalkaline-phosphatase labelled avidin-biotin complexにて検出する。 IN SITU ハイブリダイゼーション 組織上でC型肝炎ウイルス感染細胞を検出するためcore領域から360塩基対のcDNAzを製作し、PCRにてdigoxigeninを標識増幅しこれをプローブとしてin situハイブリダイゼーションを行った。 結果 NICK END LABELLINGにてDNAが断裂が認められたのはC型慢性肝炎症例20例の検討では、主に間葉系細胞であり、肝細胞にはごく一部であった。また、C型肝炎ウイルス感染は、間葉系細胞には認められず、肝細胞に限局していた。DNAの断裂とC型肝炎ウイルス感染が同時に認められた細胞は存在しなかった。 考察 DNAの断裂が認められてから、細胞が融解するまでの時間はIN VITROの検討では、6-7時間といわれる。これを考慮するとNICK END LABELLINGでは、アポトーシスを過小評価している可能性がある。しかし、これを考慮しても、多数例の検討で、全くC型肝炎ウイルス感染細胞にDNAの断裂が認められなかったことは、アポトーシスがC型慢性肝炎の細胞障害機序の主体を占めている可能性が低いことを示唆している。
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