研究概要 |
これまで我々は,急性および慢性膵炎患者の好中球は,健常人のそれに比べてO_2^-産生能が亢進していること,各種膵逸脱酵素のなかで,膵エラスターゼのみがPMAで処理した好中球のNADPH oxidase活性を上昇させ,その結果としてO_2^-産生能を増強することや,好中球には,膵エラスターゼに対するspecific binding siteが存在することを見い出してきた(Gut,35,1959-1664,1994). 本研究では,この膵エラスターゼによる好中球のO_2^-産生能増強機構について検討した.その結果,膵エラスターゼは,PMAの場合と動揺に,炎症性サイトカインであるtumor necrosis factor(TNF)や,好中球遊走因子であるIMLPで刺激した好中球のO_2^-産生も増強することを明らかにした. また,膵エラスターゼに対するspecificbinding siteの解析を行い,以下の結果を得た.(1)膵エラスターゼに対するspecificbinding siteには,膵エラスターゼと同様にPMA刺激好中球のO_2^-産生を増強する.好中球エラスターゼも結合する.(2)specific binding siteに結合した膵エラスターゼは,経時的に細胞内に取り込まれ,分解された後,細胞外に排出される,(3)specific binding siteと膵エラスターゼとの結合の至適pHは,pH6である.
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