研究概要 |
本研究は自己免疫性肝炎の病態を明らかにすることを目的としたもので,特に免疫担当細胞の解析を中心に解析を加えたものである.自己免疫性肝炎症例の肝内浸潤リンパ球のT細胞受容体Vβ鎖の解析により,発症初期あるいは活動期にはクロナリティーが存在することが明らかとなった.C型慢性肝炎では血中C3d捕捉免疫複合体が増加しその上昇とウイルス変異には関連が存在することがC型肝炎ウイルスの高度可変領域(HVR-1)のSSCPによる検討により明らかとなった.また.シーケンス解析により塩基多様度も血中C3d捕捉免疫複合体上昇と正の相関を示した.アポトーシス関連因子であるFas,bclについては末梢血リンパ球におけるFlow cytometry法による解析法を確立し,二重染色による分析を可能とした.二重染色によるリンパ球表面マーカーの解析により,慢性肝疾患群ではCD8/Fas,およびCD4/Fas陽性細胞%が健常者に比し高率であることが示されたが,CD19/bcl陽性細胞には両群間で相違を認めなかった.CD8/Fas,およびCD4/Fas陽性細胞%と検討した臨床諸成績,および組織学的所見の間には有意の関連は認められなかった.また,同時に検索したウイルス性慢性肝炎,原発性胆汁性肝硬変との間に大きな差異は認められ無かった.今回のFlow cytometryによる解析は条件の制約により末梢血での解析のみ可能であったが,今後は肝内浸潤リンパ球を用いた検討が必要である.
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