研究概要 |
平成5年度 B型劇症肝炎患者由来のHBV DNAの全塩基配列を解析し、野生株と比較検討した。その結果、アミノ酸置換を伴う遺伝子変化は、HBV全体でカ所認められ、その内訳は、S領域に4カ所、コア領域に12カ所、Pol領域に15カ所、X領域に6カ所であった。 平成6年度 劇症肝炎患者由来のHBVの生物学的特性を調べる目的で,HBVの全長をPCR法により,3個のfragmentとして増幅し,それらをligationさせた後にベクターに挿入し, 培養肝癌細胞に導入して, ウイルス蛋白の産生や,ウイルスの増殖能について調べたところ, 劇症肝炎患者由来の変異HBVは,野性株と比較して,コア蛋白の産生と,増殖に関して亢進していることがわかった。 平成7年度 次に,この変異ウイルスの,in vivoにおける動態を調べる目的で,HBV DNAをin vivoにおいて発現させる系の作成を試みた。まずHBV DNAの全長の2コピー分をtandemにつないだものをベクターに挿入し,HBV DNA constractとlipofectinとの混合物をマウスの肝被膜下に局注した。局注後のマウスの血中と肝組織内にウイルス蛋白が発現していることを確認した。しかし,現在のところ,このシステムによりマウスに劇症肝炎を発症させるにはいたっておらず,ウイルスの,より効率良い発現や,CTLを強く誘導させる方法について検討中である。
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