研究課題/領域番号 |
06670629
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
金沢 実 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80118934)
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研究分担者 |
石坂 彰敏 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90176181)
寺島 毅 (寺嶋 毅) 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30227516)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 急性肺損傷 / 好中球 / 緑膿菌 / モルモット / 顆粒球コロニー刺激因子 / 肺感染 / 腫瘍壊死因子 / ARDS / 急性呼吸促進症候群 / 単核球 / エンドトキシン / 肺感染防御 / 肺損傷 / サイクロフォスファミド |
研究概要 |
好中球の減少と増加またその機能の変化とが、緑膿菌の生菌を用いたモルモット肺感染モデルにおいて、肺内局所の炎症と肺全体での急性肺損傷に及ぼす影響を検討した。その結果、好中球の減少した状態で緑膿菌を少量投与したときには、局所感染の悪化がみられたが、損傷刺激としてはなお軽度であると考えられ、重篤な肺損傷はきたさなかった。一方G-CSFを投与して末梢血好中球を増加させた場合、損傷刺激が軽度ならば炎症は局所で処理され、広範囲な肺損傷に至らなかった。しかし損傷刺激が強ければ、増加した好中球によって肺全体の損傷が憎悪し、予後も悪化させた。この成績は好中球数の変化が、生体にとって有利となる作用だけでなく、肺損傷発生という生体にとって不利な作用をも引き起こす、2面性を有していることを示した。 次に末梢血好中球をG-CSFによって増加させたときに、LPSの静脈投与による肺損傷が軽減した機序についてin vitroの検討を行なった。その結果、G-CSFによって活性化された好中球は、単核球のLPS刺激によるTNF-α放出を抑制することを示した。また単核球からのTNF-α放出抑制は、G-CSFによって活性化された好中球自体によるもので、液性因子を介さないものであった。これらのことからG-CSF前投与が好中球を介してLPSに対する単球の反応性を低下させたとすれば、TNF-αやIL-1β(interleukin-1β)などサイトカインの放出を抑制し、肺損傷を軽減させる機序になったものと考えた。 今後この好中球の反応を制御し、臨床的な治療法として活かしていくことが望まれる。これらの基礎的な知見は、単にARDSの治療に留まらず、ひろく感染症に対する生体反応の制御法としての活用が可能になっていくものと期待できる。
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